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2022/09/12 09:00

名ファシリテーターだった2人の上司の話

僕は約10年間おもちゃ会社に勤め、企画開発の部署で商品アイディアを考えていましたが、会社員時代上司としてお世話になり、特にすごいと思っていたチームのマネージャーが2人いました。その2人はタイプが全然違いましたが、どちらも物事を円滑に進めるファシリテーターとして大変優れていました。

1人目の上司は、入社1年目のチームのマネージャーだったのですが、最初はとにかく怖かったです。いろいろ相談したり、報告したりしても一言ボソッと厳しいことを言われ、いつも緊張していました。

チームのアイディア会議で、毎週張り切っておもちゃの企画書を出していたのですが、その人は大体ノーリアクションでした。その企画書のことを今思い出すと、「そりゃノーリアクションでも当然だわ」と自分で思うくらいしょうもない内容でしたが、怖かったです。

その後僕も少しずつ成長して、2年目の終わり頃にようやく、本気で提案したいと思った商品企画書を作ることができました。その企画書をチームのアイディア会議で提案すると、上司がいつもと違うテンションで「これ、売れそう。」と言いました。

約2年間、ずっと薄いリアクションをもらっていた末のその一言で、僕の心に火がついたことは言うまでもありません。その人にそこまで言わせたなら、やるしかないと思い、その商品の開発を最後まで全力でやり抜いて、結果的にヒット商品にすることができました。

後に振り返ると、この上司は素晴らしいファシリテーターですよね。僕のことをずっと、ダメなものはダメ、いいものはいいとちゃんと見てくれていたのです。こんなふうに、ちゃんと人を見ている上司になりたいと思いました。

もう1人の方は上司は、いつも変な企画をこっそり仕込んで、突然会社の大きな会議でプレゼンして怒られたりするなど、面白い方でした。一見頼りなさそうに見えるのですが、部下であるチームメンバーはみんな「僕たちで支えよう」と一丸となって商品企画を考えたり、仕事をしたりしていました。このときのチームは仲が良かったです。

そして、実はその上司はとんでもなく高い開発能力を持っていました。トラブルが起きて、僕なんかではどうしたら良いかわからないというときに、海外出張をして解決して来てくれたりしました。その実力があるからこそ、僕たちチームメンバーはその人のためにも一致団結していたのだと思います。

そのチームは新規玩具を作るというミッションだったので、毎年業績を上げることに苦戦しがちでしたが、その2人の上司の時代の2年間だけ、業績目標をクリアしました。

良いファシリテーターは、自分のやり方で周りとコミュニケーションをとれる人なんだなあと思います。僕がその2人の上司の完全なマネをできるわけではありませんが、僕には僕のやり方があるし、それはチームメンバーによっても変わっていきます。

アイディアが生まれるきっかけは、人と人との関係性の中にあるものです。


◆この原稿は、ボイスメディアVoicyの音声配信番組、「高橋晋平の1日1アイデア」を参考に原稿化されたものです。

Voicy 高橋晋平の1日1アイデア: https://voicy.jp/channel/1883
高橋晋平Twitter: https://twitter.com/simpeiidea
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