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2022/07/06 13:44

いつもご覧いただきましてありがとうございます!

 

毎週水曜朝のお楽しみ、”今週のショートショート”のコーナーをお届けいたします。


今週は【1000投稿記念拡大号】と題しまして、一挙5作品をご紹介いたします!
いつも素敵な作品を投稿いただいているみなさま、本当に本当にありがとうございます!

 

また、いつも愛読いただいている読者のみなさまにも感謝です!!


このコーナーでは、王様のアイディアにて好評発売中の「ショートショートnote」で生み出されたランダムなお題に対して投稿された作品をご紹介いたします。

  

16回目のお題は「王様×ショートショート」です。
まさに拡大号にふさわしいテーマですね♪

  

ではさっそく、厳選5作品を一気にご紹介いたします!

 

 


王様とショートショート

むう

 

王様は強欲だった。自分の国だけでは飽きたらず世界の王様になるために、近隣の国に戦争を仕掛けた。
「もうすぐあの国も私のものになるぞ!」
嬉しそうな王様と反対に国民の心は沈んでいた。

 

あるタバコ会社は平和を願いショートショートピースという煙草を売り出した。するとその煙草を吸っているほんの一瞬だけ平和な時間が訪れるという不思議な現象が起きた。喧嘩中の夫婦が急に笑い出したり、兵士が戦いを忘れてしまったり。人々はショートショートピースを買い求めた。

  

王様は気に食わない。これじゃ戦争が終わってしまう。
王様はタバコ会社に命令した。
「私の願いを叶えるタバコを作れ」
煙草会社はショートショートホープを作った。
「これで世界の王様だ」
王様は嬉しそうにタバコに火をつける。その時国民も一斉にショートショートホープに火をつけた。モクモクと煙が上がり、王様の姿はすっかり消えて平和が訪れた。

 

それからこの話は短くて不思議な話として語り継がれてるのさ。

 

 

 

ショートショート王様

豊丸晃生

 

ショートショート王様主催の400字コンテストに僕の作品がエントリーされた。

 

発表の日。定刻になるとドラムロールが流れ、王様が恭(うやうや)しく最優秀賞作品の発表をした。残念ながら僕の作品は選ばれなかった。

 

「最優秀賞は…作品名『吾輩は豆である』を書かれた、ピスタチ男さん!」

 

僕はこの男を知っている。誰かの作品のアイデアをマメに盗んでは、電子書籍で稼いでいるらしい。

 

王様がその作品を朗読した。やはりあの作品は僕の尊敬する夏目宝石さんのアイデアだ! 僕は我慢できず王様に盗作だと抗議した。
「わしの目が節穴だとでも思っておるのか。彼こそ表彰台に上るにふさわしい作者なんだ」

 

表彰台にピスタチ男が上がった。僕は苦々しい思いで見つめていた。

 

王様がトロフィーを渡した。刹那、表彰台の床が抜けてピスタチ男は穴に落ちていった。王様の目は節穴ではなかった。

 

さすがショートショート王様!
ラストのオチが素晴らしい。

 

 

  

ショートショート王様

 壬生乃サル MiBU NO SARU

 

 ここはショートショート王国。ショートショートで溢れた国だ。そんなショートショート王国がショートショートに侵された。ショートショートウイルスによるショートショート症である。

 ショートショート症で面倒臭いのは、もともとショートだったものだ。ショートケーキはショートショートショートケーキに、ショートヘアはショートショートショートヘアになる。

 

「ふん、まだショートショートショートなど可愛いわ」

 

 ショートショート王国の王様はショートショート症最大の被害者である。

 

「ショートショート王国はショートショートショートショート王国になるのだぞ」

 

 そう、もはやゲシュタルト崩壊である。

 

「しかも私の趣味はショートショートを書く事だ。つまりこれはショートショートショートショート」

 

 わずか四百字にも満たないこの作品、ショートという文字で何文字消費しているのだろうか。この作品こそショートショートの王様、かもしれない。

 

 

 

ショートショートの王様

イチフジ

 

小雨が降る商店街を歩いていると、少年が傘を傍に置いて、しゃがみ込んでいた。

 

「キミ、風邪ひくよ」

 

濡れないよう頭上に傘をさすと、少年は振り向き、足元を指差した。なんだろうと覗いてみると、レンガ敷の歩道にできた小さな水たまりには文字が連なり、ショートショートが浮かんでいた。

 

ーー東の山を超えてくる雲は、ショートショートの王様の空想なんだ。山の向こうには海。その向こうで暮らす王様は、毎日ハンモックで寝っ転がりながら、モクモクと空想してるんだ。

 

そんな、祖父の言葉を思い出した。

夢中で読む少年の背中を微笑ましく見ていると、いつしか雨は上がった。

 

「あ」

 

太陽の光が水たまりに差し込む。すると、水たまりはさらさらと蒸発して空に昇っていった。最後まで読めなかったのだろう。少年が言った。

 

「ねえ! おじさんはさっきの続き、どうなると思う!?」

 

ワクワクした瞳を向ける少年。その頭からモクモクと煙が浮かぶと、虹がかかる空を昇っていった。

 

 

 

ショートショート王様

いまえだななこ

 

ショートショート諸島ショートショート小国のショートショート王様は、とても短気な王様です。

 

会話や文章は極力短く、と法で定めています。

 

そんな王様、恋の病に悩んでいました。

 

敵国であるロングロング王国の姫がそのお相手。

 

許されざる恋。しかし止められぬ気持ち。
想いを伝えるかどうか迷っている自分にも嫌気がさしてきたので、
短気な王様は家来の目を盗み、速達で手紙を送ったのです。

  

あなたへの気持ちを抑えきれない
とても会いたい、あなたが欲しい
今すぐ抱きしめにそちらへ行きたい

  

そんな想いを、ショートショート小国で一番イケててスマートとされる表現でしたためました。

 

ガマンムリ

 

突撃します

 

アイウォンチュー

 

敵国から届いたそれを、検閲のため開封したロングロング王様。

 

顔を真っ青にして叫びました。

 

「全軍、即刻臨戦態勢にて迎撃用意!
ショートショート諸島ショートショート小国より宣戦布告あり!

  

……ショートショートのヤツめ、我が国を奪いに来るつもりだ」

 

 


5作品を一気にご紹介させていただきました。
同じテーマでもこれほどバリエーションに富んだ作品が生まれるなんて、あらためてショートショートの魅力や奥深さを感じました。
今後も機会がありましたら、複数作品のご紹介をさせていただきます!

  

今回ご紹介したみなさまの作品は、こちらでお読みいただけます。

 

むう さんのnote

 

豊丸晃生 さんのnote

 

壬生乃サル MiBU NO SARU さんのnote

 

イチフジ さんのnote

 

いまえだななこ さんのnote

 

投稿者のみなさま、あらためてありがとうございました!



みなさまもショートショートnoteで作品作りにチャレンジしてみませんか!?

 

今週のショートショートは、たらはかにさんが運営されている企画【毎週ショートショートnote】に投稿された作品からピックアップしてお送りしております。

 

毎週のお題はこちらで募集していますので、みなさまもぜひ作品をご投稿ください!

 

それではまた来週お会いしましょう。