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2022/07/07 10:37


今回の記事は、この商品の監修を担当して下さったショートショート作家の田丸雅智さんと、ゲーム開発を担当したおもちゃクリエーター高橋晋平が、改めて2人でこのゲームを遊んでみよう、という企画です。Zoomでひっそりと行ったゲーム会と対談の様子を以下にまとめます。


写真左、田丸雅智さん(本文中では敬称略)

 

 

高橋:田丸さんに最初に聞きたいことがありまして。今回、ショートショートを書くゲームを作りたいという企画に共感して頂いて開発をご一緒させて頂いたんですが、どうして多くの方にショートショートを、読むだけでなく書いてみて欲しいと思われているんですか?

 

田丸:一つは単純に、自分もやっているショートショートを書く楽しさをみんなに広めたいんです。小さい頃友達とやっていた泥遊びみたいに、この楽しい遊びをみんなで一緒にやりたいんですよね。
それから、ショートショートというジャンルをもっと盛り上げていくためには、読み手だけじゃなく書き手を増やさないといけないと思っているんです。若い人から年配の方まで、いろいろな作風のショートショートが溢れてこそ、今知らない人にも届くと思っています。よく「書き方を教えてライバルを増やして大丈夫なの?」とか言われるんですが、むしろその先には希望しかないです。新しい読み手も書き手も増えていくと、パイが奪い合われるどころか、広げ合う形になりますよね。次々にいろいろな人のショートショートが読まれていくわけですから。
もう一つ、読書というものは素晴らしいものなので、その魅力を発信し続けなければいけないのですが、このまま下手をすると世の中の読書量が減っていってしまうかもしれません。そうならないために「読もう」と言い続けるだけよりも、「書いてみませんか?」と提案したいんです。書くと、読書が「自分事」になるんですよ。書くのが楽しいとなったら、他の人の作品にも興味が湧きますよね。ショートショートという読みやすく書きやすいジャンルをきっかけに、読書への入り口を作りたいんです。

 

高橋:なるほど、確かに読書の入り口につながりそう! そう言えば僕が作っているアナログゲームの業界も、作り手が増えてから市場全体がどんどん活性化してきたんですよね。

 

田丸:だからこのゲーム「ショートショートnote」も、ゲームを遊ぶというまた新しい形でショートショートの裾野を広げてくれたらいいなと思います。

 

高橋:このゲームを遊んでいるときに生まれたショートショートを、ハッシュタグ「#ショートショートnote」をつけてnoteに投稿してください、と提案しているんですが、ゲーム発売後すでにたくさんの作品が投稿されています。僕たちは普段からタグで追って読ませて頂いているんですが、せっかくなのでいくつかの作品にコメントを頂けたりしますか? 例えばこれなんてどうでしょう。あっちゃんさんの「釣りメガネ」。

 

田丸:まず僕も釣り好きなので、この釣りメガネ、あったら本当に欲しいなと!(笑)

 

高橋:釣り好きなんだ……。

 

田丸:物語の「なんで釣れなかったのか?」に対するラスト一行の驚きが鮮やかですよね!

 

高橋:僕もこの作品、発想として結構飛躍してるなと思って驚きました。ジョジョの能力ぐらいの不思議なぶっ飛び感と言うか。

 

 

高橋:次に、奈央(なお)さんの「酔っ払いチャリンチャリン」はどうでしょう。

 

田丸:これは難しいお題だと僕は思うんですけど、よくこのお題で書けたなあっていう感動がありました。ビール缶の中に小銭が入っている音のチャリンチャリンだったという発想が面白くて、小銭ってビールの缶に入るサイズだったっけ......とか考えていくと、なぜ缶の中に入って、なぜ出てこないんだろうとか、妙にどんどん気になっていって。とても奇妙ですよね、この感じ。で、最後の怖さ。

 

高橋:僕も、普通に読み進めていたら、オチが急に襲い掛かってきたような感じがすごいなと思って。これってもしかしたら、ゲームで制限時間が設けられていたからこそ、オチがすごいスピード感で生まれているんじゃないかって想像したんです。ゲームルールに従ってなかば無理やり物語を書くと、思いがけない勢いと面白さが出る効果があるのかもしれないですよね。

 

 

高橋:もう一つ、ぬんさんの「バズる小学校」。

 

田丸:これはまたシニカルな作品ですよね。まず設定が面白かったのと、最初に出てきた3つの例の、3つ目の「適当なネタツイめっちゃ伸びたわwww」ってのだけあえてざっくりなものにしていて、巧みだなぁと。作品全体に現代っぽい「あるある」が散りばめられていて、なるほどなと思いながら読んでいたら、最後のまとめ方が素晴らしくて。「バズる」という言葉一つで風刺的にまとめて表現しているのがすごい一作だと思いましたね。

 

高橋:僕も本当にすごいと思いました。どのくらいの時間で書いたんだろう。短時間でこれ書いたんだとしたら本当にすごいなあと。

 

田丸:皆さん「ショートショートnote」を楽しんでくれているみたいでうれしいですね。

 

 

高橋:じゃあ、僕らもいよいよゲームしてみますか。

 

田丸:やりましょう!

 

高橋:じゃあ今日は、この前のnote placeでのイベントと同じく、カードを2枚「えいや!」で引いて、そのタイトルで3分で書きましょうか。カードの引き直しもナシ、引いたら即書き始めて、当然3分で終了したら一文字も直せない、完全なガチプレイです! この前、僕たちは書かないで参加者の方々に「3分で書けるよ!書いて、ホレホレ!」みたいな感じで煽ってたんで、できなかったらヤバいですよね。じゃあ、最初のお題は、これで!


高橋:「週刊立方体」です。

 

田丸:おお~(笑)

 

高橋:じゃあ、さっそくスタートで!


カタカタカタカタ......3分)

 

 

高橋:終了です!

 

田丸:いや~、難しかった~!

 

高橋:じゃあまず僕の見ていただいていいですか?

 

 

 

週刊立方体

高橋晋平

 

全く新しい雑誌が発売されるという話題が上った。

形状が立方体であるという。

表紙は20cm四方。そして厚みも20cm

つまりページ数がとんでもない。ジャンプ4冊分くらい。つまり2000ページほどになる。

編集にはとんでもない時間が費やされるかと思いきや、月刊誌らしい。

まあ、ジャンプもあの厚さで週刊だしな。

そのうちその雑誌はほぼ付録の箱になった。

 

 

 

田丸:なるほど!これは、いや、上手いですね~、やられました!

 

高橋:相変わらず褒め上手ですね。過去に別媒体で対談したときも僕のショートショート、褒めてくれましたもんね。

 

田丸:いや、これは本当に上手いですよ。形状か~! おもちゃをやっている高橋さんらしいですよね。

 

高橋:やっぱり書き手の個性って出るんでしょうね。

 

田丸:昨今の付録がエスカレートしてる雑誌を彷彿とさせるところが計算されていて、風刺が込められているのが秀逸ですよね。

 

高橋:いや、あの、そこまで考えてないです。

 

 

田丸:じゃあ僕のも見ていただくんですが、最初に言い訳すると......

 

高橋:言い訳(笑)。

 

田丸:やっぱり最初は雑誌から離れようとしたんですけど、もう時間がないから、いいや!と思って。

 

 

 

週刊立方体

田丸雅智

 

家に帰ると購読している雑誌が届いていた。週刊立方体だ。立方体マニアの人たちが購読していて、おれも昔から愛読してきた。

表紙にはこんな言葉がおどる。

「あの立方体は今」

「立方体から考える現代の」

「未来予測:これからの三角錐市場」

それをおれは、ルービックキューブを持ちながら読む。

 

 

 

高橋:ウケる! 僕、この特集タイトルの「立方体から考える現代の」っていうやつめっちゃ好きです。「現代の」って、ありそう、ありそう。そういえばこれ週刊だったんですね。週刊って考えるとジワジワ来ますね。

 

田丸:ずらし、ですよね。立方体から徐々に離れていこうとして、直方体だとそうでもないから三角錐で、最後はルービックキューブみたいな。でも、もっと鮮やかに決めたかったなぁ……悔しいです() あと、「現代の」で終わっているところは、時間がなくてあとで書こうと思っていたら、完全に忘れていただけでした() ミスも肯定的にとらえていただけるだけで、想像が膨らんでおもしろいですね。

 

 

高橋:じゃあ、もう1つやりましょうか。次のお題は、これです!

 

高橋:「東と西の男子」

 

田丸:アハハ! なるほどな~

 

高橋:なんかジョイマンみたいな韻踏んでるタイトルですね。じゃあ行きましょう。スタート!


カタカタカタカタ......

フフフ......

カタカタカタカタカタ......3分)

 

 

高橋:終了でーす。

 

田丸:いやー難しいーー!

 

高橋:3分難しい。これをあのイベントでみんなに強いてた自分を叱りたい。

 

田丸:いや、でも、改めてこのゲーム面白いなあと!

 

高橋:面白い面白い! なんか自画自賛しちゃいましたけど、改めてやるとめっちゃ面白い。書いてる間もニヤニヤしちゃいました。じゃあ、僕のから見ていただきますね。

 

 

 

東と西の男子

高橋晋平

 

「おい、あれを見ろ!」

 

子供たちがざわつく。

東方と西方から、男の中の男のような感じの男たちが歩いてくるのだ。

「あ、あいつは、メリケンサックで豆腐をぼこぼこにした鬼神、東田じゃないか!?」

「おい、むこうは、蹴りでタンポポの綿毛を蹴散らした暴君、西田だ!」

ざわ

ざわ

ざわ…

「はっけよい、のこった!」

 

 

 

田丸:アハハハハ! いいですね~面白い! 具体例が面白いですね~。

 

高橋:これはやっぱり僕が落研出身でお笑い台本を書いていたから、どうしても漫才ネタみたいにしたくなっていっちゃうんですよね。ボケをぶち込みたくなるというか。

 

田丸:この具体例のところ絶妙ですよね。強い言葉と弱い言葉の取り合わせが。

 

高橋:書きながら、お笑い台本を書こうとしている自分がいて、「ショートショートってなんだっけ?」って考えてたんだけど、ルールってあるんですか?

 

田丸:ぼくが現代ショートショートの定義として発信しているものはあって、賞などではそれを基準に審査をさせてもらうのですが、少なくとも遊んでくださっているときには定義やルールなどは何も考えなくてOKです。楽しむことが最優先で、書きたいものなら何でも大丈夫。じゃあ、僕のも見ていただきましょうか。やっぱり、ここに行ったというか。

 

 

 

東と西の男子

田丸雅智

 

「ひがぁぁぁしぃぃい、太郎の山ぁぁぁ」

「にぃぃしぃぃぃ、元太の海ぃぃぃ」

「ひがぁぁぁしぃぃい、直樹の山ぁぁぁ」

「にぃぃしぃぃぃ、の海ぃぃぃ」

「ひがぁぁぁしぃぃい、の山ぁぁぁ」

「にぃぃしぃぃぃ、の海ぃぃぃ」

これは東日本と西日本の人気名前ランキングを発表する恒例の儀式。

 

 

 

高橋:うおお! これはすごい! めちゃくちゃ面白いじゃないですか!

 

田丸:まず、やっぱり「相撲」が浮かんで、まあ相撲でいっちゃえ、ってなったんですが、名前の具体例が浮かばなくて、太郎とか元太とかになって。

 

高橋:いや僕、これ、鳥肌立つくらいすごいと思いました。ランキング上位の名前が、東が太郎で、西が元太っていうところも何かイイんですよね。

 

田丸:実はこれギリギリでしたよ。名前の具体例が4つ目から書かれていないのは、狙いではなく、ただ時間がなくてコピペしただけだったからですし() 結末も思い浮かばずに途中「これはつまんねー」って思ってて、最後の最後でギリギリ一行をひねり出した感じでした。

 

高橋:えー! それ聞くとすごい。オチ、終盤に出たんですね。ギリギリで出たっていうセリフをプロから聞けたのが、何だか嬉しいです。その現場をリアルに感じられた気がして。

 

田丸:このゲーム、感想戦ができるのがいいですね。「やっぱ相撲か~!」とか。最初に南北を出そうかどうか考えたとか。

 

高橋:わかる(笑)! 僕も最初に南北の女子の可能性は考えました。


田丸:みんなの視点が違って「そっちか~!」ってなることもあるし、同じところに目をつけて「やっぱりそれだよね」になることもあるっていうところが面白いですよね。

 

高橋:僕の中ではゲームって100%笑いなので、仮にプロと一緒に初めて書く人がやっても、むしろ初めての人の方が輝けるようなものにしたかったんですよね。そういう意味ではやっぱりこれゲームとして良くできているんだなと確認できました。

 

田丸:これ、まず会社の中での会議前アイスブレイクとかにも使ってほしいですよね。上司部下とかの垣根なく笑い合えるし。もちろん学校などでも使う機会があっていいと思いますし、たくさんの方にいろいろな場面で遊んでほしいです。

 

高橋:田丸さん今日はありがとうございました! noteユーザーの方々も、ぜひ引き続き、「#ショートショートnote」をつけて作品を書いてみて頂けると本当に嬉しいです。僕たち全部読んでいますので。ゲーム会イベントもまた企画するかもです。これからも一緒に遊んで下さい。よろしくお願いいたします!

 

 

......と、

ここでゲーム会と対談は終わったんですが、その後のアフタートークが個人的にとても面白かったので、少しだけ追記させてください。↓

 

 

(アフタートーク)

高橋:お疲れさまでした。いや~、引き続きショートショートnoteが広まって書いてくれる人がどんどん増えたらいいですね。

 

田丸:そうですね。まあ、ただ一方で、ときどき言われるのが、昨今の小説業界は、ネットのいろいろな所への作品投稿の充実もあって、書くけれども読まなくなっている、っていう傾向もみられているようなんです。他の人の作品を読んで学ぶという意味も含めたインプットが減って、ひたすらアウトプットだけするという。

 

高橋:それはわかりすぎる! 超面白い話ですね。だって僕自身、もはや完全に「アウトプット病」ですもん。前はたくさんゲーム会をやって、人といろいろなゲームを遊んで、自分の開発のヒントをインプットしていたんですよ。でも、自粛期間もあるけど、それ以上に自分の開発の仕事が増えすぎて忙しくなって気づいたら人とゲームすることが正直減っちゃってるんですよね。これは職業人としてヤバいですよね。SNSも、note書いて、Voicyで毎日喋って、Twitterでつぶやいて、めちゃくちゃ発信してるけど、発信過多というか。

 

田丸:実は、今僕も忙しくなって読書する時間が減ってしまって、これめちゃくちゃヤバいなと思って意識的に読む時間を作っているんですけど。

 

高橋:やっぱりアウトプットって楽しいんですよ。誰でも好きな形式のアウトプットができるプラットフォームが充実しているし。だから、アウトプットファーストでいいんですが、もしクリエイターとしてレベルアップしたいと思うなら、まず自分のアウトプットを自分で客観的に見て振り返りができるようになって、その上で足りていないことを他の人の作品からインプットするのはすごく重要だなと思います。もちろん楽しみながら。